大変光栄なことに、ウクライナ侵攻について寄稿させていただきました。以下、本文より抜粋です。
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「過熱する連日のウクライナ侵攻の報道を目にし、シリア難民を取材する一人として感じることがある。中東の一角で起きることと欧州の一角で起きることでは、世界を取り巻く危機意識も、人間の命の重みも、扱われ方が同じではないということだ。ロシアに対抗する西欧諸国の連帯の早さも、規模も、内容も、全てがシリアでのケースとは大違いだ。」
「それにしても泥沼の戦争を経験し、その苦しみを誰よりも知っているはずのシリア人が、報酬を求めて他国の戦争に加担する構図は、悲惨としか言いようがない。」
「他国に侵略した軍の一員としての責任は負うべきだ。だが同時に、こうした兵士たちが私たちとさほど変わらない人間であることを忘れてはいけないと感じる。彼らも誰かを愛し、誰かから愛される存在であり、家族や恋人など、帰りを待っている多くの人々がいるだろう。
そうした一人一人が、戦地に立ち、殺戮に加担しなければいけない戦争の狂気、構造の問題をこそ考えたい。その視点を失ってしまうとき、私たちもまた、戦争が引き起こす人間の分断に巻き込まれていくのではないだろうか。」