この度、応募させていただいた原稿『シリアの家族』が、第23回開高健ノンフィクション賞(集英社主催)に選出されました!!身に余る光栄です。
https://news.yahoo.co.jp/articles/2392125a4cbfd1fd9d8e1a84c75f7db270d03206
開高健ノンフィクション賞は、日本のノンフィクション文学に大きな足跡を残した開高健(かいこうたけし)にちなんだ賞で、小学館ノンフィクション大賞とともに、ノンフィクション作家の登竜門として知られています。
この作品は3年前に書き始めました。
当初、終わりの見えないシリアでの動乱に翻弄され、異郷での生活再建を目指しながら、故郷への帰還を夢に見るシリア難民の姿を描く予定でした。
しかし、昨年2024年12月にアサド政権が崩壊したことで、自分で言うのもなんですが、大変起伏に富んだ、予想だにしなかった内容となりました。
作品で表現したかったのは、人間が、それぞれの環境のなかを懸命に生きていること。それぞれに、かけがえのない人生があるのだ、ということです。同時にこの本は、私自身のセルフドキュメンタリーでもあります。
シリア人の夫を持ち、家庭生活を営み、子連れパニック取材を繰り返しながら、なんとか細々と難民を取材し続けてきたことで書くことのできた、オンリーワンの一冊であると自負しています。
作品はさらに推敲を重ね、11月に集英社から出版予定です。
これまで経済的に困窮しながら、身銭を切って、というか、いつも貯金はすっからかんになりながら、強い情熱をもって取り組んできたシリア難民の取材。それが、ひとつの形となったこと。そしてこのような栄誉ある賞として評価いただいただいたことに、恐縮しつつも、大変嬉しく感じています。
これに奢ることなく、これまでのように地道にコツコツ取材を続け、これからも、シリアの人々の生き様を描いていきます。
この受賞を、新しいシリアを生きようとしているシリアの人々に対し、捧げたいと思います。
皆様、いつも応援いただき、ありがとうございます!
●開高健ノンフィクション賞
https://gakugei.shueisha.co.jp/kaikosho
(9年間のトルコでの難民生活に終止符を打ち、故郷のシリア中部パルミラに帰還する直前の、アブ・シャーケル一家。トルコには二度と戻らないという。2025年6月撮影。トルコ南部ハタイ県、シリア国境の街レイハンルにて)
(街の郊外の豊かなナツメヤシのオアシスは、この10年の内戦によってすっかり荒廃した。木々は燃やされ、水路を管理する人間が去っていったことで枯れていった。2024年12月。シリア中部パルミラにて)
(13年ぶりに故郷に立った夫ラドワンと小松。2024年12月。シリア中部パルミラのレストランにて)
One Reply to “【開高健ノンフィクション賞を受賞しました!】”
開高健賞受賞おめでとうございます。
自分のことのようにうれしく胸がいっぱいです。これからのさらなるご活躍を見守っています。