映画『消えた人々 アサドの戦争犯罪』の告知記事にコメントさせていただきました

〝目を背けたい、だが背けてはいけない。それは事実なのだから・・・〟。

それが、この映画を見て感じた率直な思いだった。

通称〝シーザーファイル〟と呼ばれる、大量の写真記録の存在を、皆様はご存知だろうか。

それは、(かつてシリアの収容所で写真記録係だった)通称〝シーザー〟と呼ばれる人物によってシリアから秘密裏に持ち出され、そこで何が起きているのか世界に向けて告発した写真として知られている。そこに写っているのは、シリア政府の収容所で死亡した囚人たちの、大量の遺体である。そのほとんどに拷問の痕が残されていた。

アサド政権下では、約10万人の市民が政権に拘束されたまま行方不明となっており、2024年12月8日にアサド政権が崩壊した後も、その行方が分からないままだ。こうした人々の多くは、政権に反する言動を行ったことから政治犯として逮捕され、軍事病院や収容所、刑務所などで拷問を受けて死亡したものと見られる。そして家族にさえその死を知らされぬまま、葬り去られていった。

それが、2024年12月8日まで、シリアで当たり前のように起きていたことだ。

信じられるだろうか。

それらは、私たちが生きているこの同時代に、それどころか、わずか3カ月ほど前まで、政権の名のもと、日常的にシリアで行われていたことなのだ。

知らなかった?
いいえ、みんな知っていた。

〝シーザーファイル〟が公開されたのは2014年1月である。そしてそこには、シリアの収容所で拘束中に死亡した6786人もの人々の遺体が写っていた。

世界は、すでに10年も前に、シリアで何が起きていたのかを知っていた。そしてアサド政権が崩壊するまで、それを止めることができなかったのだ。

非人道的行為が繰り返されていたここまでの証拠がありながら、そしてこれほどまでに多くの人々が命を失いながら、なぜ国際社会として止めることができなかったのだろう。

ドキュメンタリー映画『消えた人々 アサドの戦争犯罪』を見て、そうしたことを改めて思い返した。

人間としての尊厳なく命を奪われていった、膨大な人々の存在。シリアで起きていた、あまりに悲惨さな事実。

目を背けたくなる。しかし、今からでも直視したい。シリアで、何が起きていたのかを。


▼ ドキュメンタリー映画『消えた人々 アサドの戦争犯罪』予告編
https://youtu.be/BtqPuQMf-ds?si=B-Z_cfHW8H1R_s39

▼ 『消えた人々 アサドの戦争犯罪』の告知記事にコメントさせていただきました
https://kyodonewsprwire.jp/release/202502023688

▼アジアンドキュメンタリーズ
https://asiandocs.co.jp/

▼アジアンドキュメンタリー
特集「いま、シリアをみつめる」
https://asiandocs.co.jp/set/1644

prw PI17lg 67VZ2VGr 1 映画『消えた人々 アサドの戦争犯罪』の告知記事にコメントさせていただきました 映画『消えた人々 アサドの戦争犯罪』の告知記事にコメントさせていただきました

▼参照記事
シリア:殺害された被拘禁者の写真にまつわる真相 (ヒューマンライズウォッチ/2015年12月16日)
https://www.hrw.org/ja/news/2015/12/16/284763

訂正:〝シーザーファイル〟について、遺体数の情報が誤っていたため訂正いたしました。2013年8月にシリア国外に持ち出された53275枚の写真のなかから、シリア政府の拘束下で死亡した、6786人の遺体の情報が含まれていました。

(2025年2月5日)